就職先にSES(客先常駐)を検討してるけど、実際どんな感じなんだろう…
「SES やめとけ」なんていう不穏な予測変換もあるので、気になる人も多いのではないでしょうか?
結論、私にはデメリットの方が多かったため退職に至りましたが、正直向き不向きは人によります。
本記事では、私が新卒でSESに入社して具体的にどんな1年目を過ごしたか、
その後どのようにキャリアを積んだかをご紹介し、その体験を踏まえSESのメリット・デメリットを解説します。
- 新卒でベンチャーSIer(社員数60人程)に入社
- 3年間、システムエンジニアとして従事
- 現在は退職し、WEB業界に転職済み
SESの実態からメリット・デメリットを知ることで、SESに向いているかどうかの判断材料が分かります。
SESでの体験談
どんなSESに入社した?
筆者は、大学4年の春頃にジェイック(JAIC)という就活エージェントからSESを紹介されて就職しました。
会社のスペックは以下です。
同じSESでも会社の規模によって、案件の数や種類、研修やその他制度の充実度が違うので参考として載せておきます。
- 社員数60人程の中小ベンチャー
- 同期は10人程で男女比は5:5
- 大体の案件が2~3次請け
(例:金融会社→金融会社のシステム子会社→元請け(NTTなどの大手SIer)→【2次請け】→【3次請け】) - 入社後研修は2ヶ月(その後の勉強会や資格取得のためのサポート等は特になし)
入社1年目:実りの前半、無の後半
まずは入社してからの1年間を振り返っていきたいと思います。
詳細はいいから概要だけ教えて!という忙しい読者の方は、下記に概要まとめましたので参考にしていただければと思います!
4~5月:「気分は学生♪」の研修期間
6月:社会人&エンジニアデビュー!
7月:新入社員合同研修で孤独からの解放
8~9月:プロジェクトメンバー入り!からのテスターデビュー
10~3月:テスト職人への道
4~5月:「 気分は学生♪ 」の研修期間
未経験者歓迎とは言え、プログラミングは勉強する必要があるので入社後数か月は研修を行います。
筆者の会社は研修時点では配属先が決まっていないので、全員同じカリキュラムを受講しました。
- ITの基礎学習(基本情報技術者試験):3日
- ビジネス研修:1日
- HTML/CSS/JavaScript:1週間
- データベース(SQL):2日
- Java:1ヶ月
- 開発演習:2週間
プログラミング研修ってどんな感じなんだろう…と不安な方もいると思いますが、雰囲気はほぼアットホームな学習塾でした(笑)
同期と「これ分からないよね~」なんて話しながら、学生気分でゆるーく研修を受けていたので社会人感は0。
そして、2ヶ月程度の研修ではほぼ何も出来るようになりません(笑)
あくまでも基礎知識のインプットとしてIT知識やビジネスマナー、プログラミングを広く浅く勉強します。
5月下旬頃には、自社の営業から「配属予定先の顔合わせ」となるものの連絡が届き、
営業と一緒に参画予定のプロジェクトのリーダーにご挨拶に向かいました。(配属先を選んだりは出来ません)
顔合わせと言ってますが、実態は採用面接なので、
何かやらかしたら落とされます(笑)
私が紹介された現場は大きい保険会社で、いろんな会社さんの新人を毎年何人も入れているところなので、
「研修では何を勉強しましたか?」という簡単な質問を聞かれて、
「じゃあ来月からよろしくね~」という流れ作業的な感じで終わりました。
何はともあれ6月からの勤務地が決まりホッとしたのを覚えています。
ちなみに配属先が決まらないと研修後は決まるまで本社で待機です。(切ない…)
6月:社会人&エンジニアデビュー!
最低限の知識を装備し、配属先も決まったところで毎日一緒にいた同期ともおさらばし、
一人で配属先の現場に向かいます。
心細いし、本当に緊張しました…
現場に同じ会社の上司が1名だけいたので、その方にビルの1階まで迎えに来てもらい、
ビルを軽く案内されつつ執務室へ向かいました。
執務室には大体200人くらいの人がいましたが、同じ会社の人はその上司だけ。
知らない人ばっかりでどうしたら良いか分からずずっとソワソワしてました。
執務室に入ってからはPM(プロジェクトマネージャー)に挨拶をして、自分の席に着席。
隣の席は違う会社の方でしたが、特段挨拶はせず…
客先常駐というものが謎すぎて他の会社の方にどう挨拶したらよいか分からなかった(SEあるある?)
3年間客先常駐で過ごし3つの現場を経験しましたが、
配属時に他の会社さんに挨拶に行く方はあまり見かけませんでした。
案件で関わる他の会社の人は、その後個別に紹介されたり、プロジェクトの定例会議で顔合わせがあったりするので
仕事をする時に初めましての方がいたらその都度「よろしくお願いします」と挨拶をしましょう!
初日は、館内の説明や触りの業務説明をしてもらい、資料をひたすら読んで終わりました(笑)
そもそも端末がまだ準備出来ていなくて何もできない。(配属時あるある)
2日目以降端末が届いてからはメールやその他諸々のツールのインストールや設定を実施。
開発環境の構築が終わった後は、先輩社員から出されたプログラミングの課題を黙々と解く毎日。
実は筆者が配属された現場は、
開発言語が研修で習ったJavaではなくVB.netという別の言語を開発言語として使っていました(笑)
Javaとは変数の宣言の仕方も違うので、コーディングのお作法をまた覚えなおすことに…
現場でJavaを使う同期もいたから、
「なんでJavaじゃないの!?研修の意味ないじゃん!」と文句を言ってました。(笑)
でもプログラミング言語は大枠のルールはほぼ一緒なので、考え方が理解できていればどの言語にも対応できると思います。
7月:新入社員合同研修で孤独からの解放
他の会社の新入社員さんと一緒に合同研修。
研修内容は、実際に進行している案件のテストのお手伝いで、
テスト端末を使って実際にテストケースを消化しながら各種保険手続のワークフローを覚えていくというものでした。
新入社員なので、誰でも出来るような簡単な仕事から覚えてきます!
同じ会社の同期はみんな違う現場に配属され、現場では年の離れた上司しかいなくてかなり孤独だったので、
自分と同年代でしかも同じ新入社員と一緒でワクワクでした!笑
みんな一人孤独にアサインされたぼっち新入社員だったのですぐに仲良くなり、
研修(という名の業務)も協力プレイで助け合いながら進めていて、
約3年間のSES人生の中でこの時が一番楽しかったです(笑)
8~9月:プロジェクトメンバー入り!からのテスターデビュー
1ヶ月の研修が終わり、最低限の業務知識をインプットしたところで、
自分のアサインされている案件へ戻り、いざ戦力としてデビュー!とは言っても、またテストをすることに…(笑)
主な作業はテストの実施でしたが、その他にも、
簡単な設計や開発、テスト仕様書の作成、障害解消対応なども教えてもらい、
現場でのシステム開発のざっくりとしたプロセスを簡単にですが手を動かしながら学びました。
今思うと、筆者の後に入ってきた後輩はほぼテストしか出来ていなかったので、
私は一連の流れを経験出来て運が良かったです。(上司の色々経験してもらいたいという計らいもあったと思います。)
10~3月:テスト職人への道
ここから半年間はほぼテスト漬けの毎日でした。
これ、当時は一年目だったし、右も左も分からずとにかく一生懸命言われたタスクを消化していましたが、
改めて過去の週報(毎週自社の課長に業務内容を報告していた)を見て、
こんなにもテストをやってたのかと衝撃を受けました…(笑)
21~22時まで残業する日もあったりして、何も考える余裕もなく半年が過ぎ去り気付けば1年目が終わりました。
入社2年目以降はどう?:特にこれといったスキルが身につかなかった
優秀なテスター街道まっしぐらの筆者も気付けば先輩社員に…
何もできない自分の下に新入社員が配属される恐怖。(笑)
ちなみにこの時点での技術的スキルは0。
強いて言えば、この現場でのテストなら胸を張って出来るようになりました。
2年目以降は何か出来るようになった?
結論、筆者はこの後3か所の現場に配属されることになりますが、
どこの現場も半年程度でそれぞれの現場でやる作業に関連性がなかったためスキルの積み上げが出来ませんでした。
- 某保険会社のDB移行
仕事内容①:SQLを使った開発
仕事内容②:3~4人のチーム管理(作業指示、進捗管理など) - 某銀行のプロジェクト管理(PMO)
仕事内容①:パワポを使ったお客様向けの資料作り
仕事内容②:鬼長い会議の議事録作成
仕事内容③:各チームへの進捗のヒアリングと取りまとめ - 某保険会社の業務改善対応
仕事内容①:ただひたすらにテスト
仕事内容②:新人の教育・指導
仕事内容③:HTML, CSS, JavaScript, VB.netを用いた開発
もちろん初めてやる作業ばかりなので学びはあるし確かに様々な経験は出来るのですが、いかんせん身につかない…
理由は、一つ一つの作業を突き詰めておらず、
限られた期間の間で納期に追われながらその場しのぎで要領よくやってしまっているからです。
むしろ、SESという形態で色々なプロジェクトに出向する性質上、
どこに行ってもその場所のルールややり方を上手く吸収して要領よくやるのがベストだと思いますが、
その反面色々なことを中途半端にしかやれず自分のものにできませんでした。
SESで何か特定の技術を身に付けるのはなかなか難しそうです…
SESのメリット3選
①様々な案件に携われる
会社にもよりますが、一つの現場に居続けることは滅多にありません。
プロジェクトによって使う技術やツール、開発手法、文化などが全く違うので、
一つの会社では得られない様々な経験を積めることは大きいメリットになると思います。
特にITの中でやりたいことが明確にない人は
とりあえずやってみるためにSESを選ぶのは選択肢として全然アリです。
また、小さい会社に就職しても、大企業の大きい案件に携われるのも魅力の一つですね。
私の場合は、従業員数60人程の小さなITベンチャーに就職しましたが、
全国のCMで流れるような大きいプロジェクトの開発などに携わることが出来ました。
②どうしても辛い時は現場を変えてもらえる
替えがすぐにきくSESだからこそ、どうしても現場での人間関係や仕事がしんどい場合は、
担当営業に相談すれば他の案件にねじ込んでくれます。
これは客先常駐ならではのメリットですね。
何回も使える技ではないですが、
転職したりしなくても簡単に環境を変えられるのでいざというときの逃げ道になります。
メンタルやられるくらいなら、さっさと環境を変えちゃいましょう!
③ 未経験でもとりあえずなんとかなっちゃう
SESは良く求人に「文系でも大丈夫」「未経験歓迎!」とうたっていますが、
それは文字通り、本当に未経験でも大丈夫です。
私の会社の同期も半数が文系出身でしたが、何ら問題なく仕事をこなしていました。
理由としては、専門的な技術(プログラミング等)が必要な作業以外にも、
WordやExcelの資料を作成したり、簡単なテストを行ったりやることは沢山あるので
プログラミングが出来なくても、文系でも未経験でも心配する必要はありません。
逆に、専門性がないからいくらでも替えが利くってことなんですけどね…
SESのデメリット3選
①技術力が身につかない
技術力、4年間SESにいても身につきませんでした。
システムエンジニアの仕事はプログラミング以外にも幅広く、そもそも開発に携われるかどうかも運ゲー。
携われたとしても開発の間の数か月のみで自分のものには全くならないため、
回りに技術力のある若手はほとんどいませんでした。
②自分で考える力が身につかない
これは転職してから気付いたことですが、
SESで下流工程ばかりやっていると自分で考える機会がほとんどありません。
何故なら全ての作業がトップダウンで上から指示されたことをこなすだけだからです。
そして一番やばいのが、中にいる間はそのことに気付けないのです。
私自身もSESにいる間は自分なり工夫したりしているつもりでしたが、
あくまで上司から与えられた小さなフィールドで頑張っていただけで、
お客様にどんな付加価値を提供できるか、売上にどう貢献するかなんて考えたこともありませんでした。
言われたことしか出来ない、言われなきゃ動けない、自分で考える力がないのは、
年次を重ねれば重ねるほど市場価値が下がります。
言われたことを淡々とこなすロボットになりたくない方は要注意です。
③労働環境が選べない
案件が選べないので、どこで働くか、どのくらいの残業があるか、
休日出勤・深夜作業があるかも運ゲーになります。
SESをやっている以上「休日出勤は嫌です」「勤務地が遠いので無理です」なんて言っていたら
案件が決まらないので受け入れざるを得ません。
なんでわざわざこんな遠いところに通勤しなきゃいけないの…
と、常々思っていましたね(笑)
まとめ:未経験でとにかく実績を作りたい人にはおすすめ。
以上、筆者のSES体験談でした。
結論、未経験でとくかく実績を作りたい人には、比較的無理なく参入できる業界だと思います。
ただ未経験でも参入できてしまうということは裏を返せばそれなりにデメリットがあることを知っておきましょう。
筆者の場合はここに書いた以外にも色々不自由だと思う点があったため、現在はSI業界からWEB業界に転職をしました。
退職に至る詳しい経緯や、そのほかのデメリットの詳細はこちらに記載しています。
私の場合は「勤務地や仕事内容を選べない不自由さ」がネックとなり退職しましたが、
人によってはそれよりも「幅広く経験出来ること」や「とにかく実績をつくること」を重視している方もいると思います。
SESは、本当に自分に向いているかどうかと
エンジニアファーストで扱ってくれるいい会社選びが出来るかにかかっていますので、
情報収集を出来るだけ行い、後悔のないエンジニア生活を送りましょう!
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